PO-Linksのきまぐれブログ

気まぐれに訪問専門の義肢装具士が活動報告、情報や想いをお伝えしていきます。

装具は誰のため?

脳卒中を発症して15年以上】

 

片麻痺で写真のような立位姿勢

左肩が下がり、左手はたらーんと垂れた状態

肘は伸展したまま硬く、曲げることが困難

回内前腕の骨を中心軸として、内側に回る動き)しています。

脱臼はしていないらしい・・・

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肩の装具を装着すると・・・

たらーんと垂れていた上肢が装具で懸垂され、

左肩の下がり具合は改善、上半身が起き上がるようになりました。

前腕の回内も装具で制御。

そして、本人からは「歩きやすい」という言葉が!

このブログでは載せることができませんが、顔が上がり、表情も豊かになっています。

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実はこの装具・・・

脳卒中発症してすぐの急性期や回復期で使用することを推奨しています。

ただ、今回のように発症して15年以上経過した方でも有用な装具の一つです。

個人的におすすめの装具の一つではありますが、装着が難儀・・・

(家族の協力が必要かもしれません)

 

装着開始してから1か月後の今では、訪問のセラピストさんの協力もあり上肢の動きや歩く姿勢も改善されてきています。

 

【この装具が使用者に与えた影響】

 

上肢装具を装着したことで、立位姿勢の改善や歩行の安定性向上につながっただけでなく、顔を上げることができるようになり、表情も明るくなった。

 

今はまだコロナウイルス感染症の影響もあり、旅行など外出を控えているが、落ち着いたら旅行したいという意欲もわいてきたらしい(奥様が言うには)。

 

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補装具はICF国際生活機能分類)において背景因子への影響があります。

姿勢の改善により心身機能の向上につながるだけでなく、社会参加などの生活機能にも影響を与えます。

 

※今回のように良い影響だけでなく、不適切な装具を使うことで悪影響を及ぼすこともあるのです。

 

【最後に・・・】

「ありがとう。」と言っていただいたことが本当に嬉しかった。

が、そのあとに続いた言葉に対して衝撃を受けた。

「こんなに親身になって対応してくれた義肢装具士は初めてだ」

という言葉だ。

無言になってしまった。

今までの義肢装具士は誰のために装具を製作していたのだろうか…?

 

 

 

こちらこそ、「ありがとうございました。」

これからも、よろしくお願いします!